◆救命救急科について
当院は川崎市の中心部にある武蔵小杉に設立された救命救急センターです。
川崎市だけでも150万人の人口を擁しており、当センターの医療圏は隣接する東京都南部や横浜北部までにわたっています。特に我々の施設が位置する武蔵小杉は、近年タワーマンションの乱立もあり人口増加が著しい地区で、大きな変遷を強いられている状況です。
2021年9月に完成した新病院と共に我々自身もそれらの変化に対応していく必要があります。
その中で、当救命救急センターは、3次救急だけではなく2次救急への対応も積極的に行い、ドクターカーも駆使しつつ病院前も含めて救急隊と強く連携を取り、この地域のメディカルコントロールの一翼を担えるように日々努力しております。
◆部長のご挨拶
日本医科大学武蔵小杉病院救命救急センターは、全国に291施設、神奈川県内に21施設、川崎市内に3施設ある救命救急センターのうちの一つです。
「救命救急センター」とは、生命の危険がある最重症の救急患者さん、即ち「第3次救急患者」の治療を行う、まさしく救急医療の最後の砦です。当センターも川崎市中部の救急医療最後の砦として、絶対に断らない救急医療を実践しています。
当センターの特徴は、救急医療を専門とする救急科専門医が常駐し運営している施設であることです。勤務する医師の専門性にとらわれることなく、あらゆる外傷、疾病の急性期治療を行うことが可能なので、診療を断ることがありません。
自己完結型(他の診療科医師に頼らない)の救急医療を行い、状態が安定した上で他の診療科に治療を委ねる体制をとっています。自己完結型救急医療は、日本医科大学救急医学教室の伝統です。まず自らで診察し治療を開始する、決して患者の前から逃げ出すことのない医療を実践するとともに、学生教育、臨床研修、専攻医研修を通して、そのような医師を育てて参りたいと考えております。
第3次救急医療とともに、総合病院スタッフの一員として、軽~中等症の救急患者対応でも当科は一翼を担っています。いわゆるER診療も救急医療の大事な要素であると認識しています。
それから、当施設の特徴として挙げられるのが、ドクターカー運用、積極的なメディカルコントロールなどを通した病院前救急医療への大きな関りです。病院に来る患者さんを待っているだけではなく、こちらから打って出て、これまで救命できなかった患者さんの生命を助けられるようにする挑戦を日々続けています。
2021年9月に新しい病院が完成し、救命救急センターの施設も一新されます。新病院では、臨床面での施設拡充とともにスタッフのアメニティーにも配慮した良好な職場環境が保証されています。個人的にも新しい明るい施設で若い医師と一緒に勉強して、救急医学の奥義に少しでも近づきたいと考えています。救急医学の進歩を地域に還元し、地域の救急医療に貢献して参りたいと思います。是非一緒に勉強してくれる若い医師が当施設の門をたたいてくれることを熱望しています。
日本医科大学武蔵小杉病院 命救急科部長・救命救急センター長・教授
井上 潤一